コラム・指導日記⑩ NEW!                  オーディションは、子ども一人で戦わせますか?


■先日、島田歌穂さん主演のミュージカル「二十四の瞳」(20134月・あうるすぽっとにて上演)の子役オーディションがありましたが、事前にオーディションに向けて課題曲のプライベート・レッスンを池袋のスタジオで行いました。

課題曲は「浜辺の歌」。いわゆる今風のリズミカルな曲と違い三拍子の優雅なフレーズで、歌詞は現代口語と違い古めかしい感じ。小学校低学年の子には、少々取っ付きにくい曲かもしれません。

 

■そんな曲をいかに本人自身にフィットさせるか? そして声楽家がクラシックのコンサートで歌ううたを本人の個性を活かしてミュージカルとしてどんな歌い方にするか? 後半のサビの高音をいかに安定させるか? 伸ばした歌声の切り方は、どうしたら収まりよくなるか? ・・・などを意識して指導し、家での練習もかさね、年齢にしては堂々たる歌になりました。

 

■オーディション当日は、たくさんの子どもたちがまず課題曲の「浜辺の歌」にチャレンジし、そこでバッサリ落とされてしまいます。周囲には「アニー」や劇団四季などの大型ミュージカル出演経験者や、この作品の初演出演経験者もいる中、指導した子は自分の歌がしっかり歌えたようで、次の演技審査に残る事ができました。学年が低く、たくさんの経験があるとは言えないのに大健闘です。

 

最終的な結果は後日発表となりましたが、オーディションを終え、本人も、お母様も、指導した私自身も、その立派に健闘した成長ぶりに、大きな満足感を得ることができ、喜びを分かち合う事ができました。オーディションに向けた取り組みは、小さい子ども本人が自分なりに努力するだけに終わらせずに、プロの力も借りてピンポイントで強化するのも、一つの方法と言えます。